人は貧しいという理由で
死んではいけない。
日本フォスター・プラン協会 1999年
仕事でコピーを書いていた時期があります。
コピー関連の書籍、TCCやACCといったコピー年鑑は一通り読みました。
その中で私が一番衝撃を受けたコピーが、「人は貧しいという理由で死んではいけない」。
このコピーを生んだ岩崎俊一さんは、著書「幸福を見つめるコピー」で下記のように述べています。
いいことをするとは、ほんとうにむずかしいのだ。フォスター・プランの仕事が来た時、真っ先に考えたのはそのことだ。経済大国に住む日本人が、きょう食べるものにも困っているアジアやアフリカの人に救いの手をさしのべる。まさに絵に描いたような「善行」の構図がそこにある。さあむずかしいぞ、この広告は、と思った。―(略)―その時ふと思った。こんなふうに悩んでいるひまはあるのか。ないだろう。相手は、いま死ぬか生きるかの瀬戸際にいるのだ。―(以下略)―
引用元:岩崎俊一「幸福を見つめるコピー」(2015 東急エージェンシー)
ドキッとしました。
私があの頃処理できなかった感情を、こんなふうに表現する方がいるんだ。
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これはもうコピーを越えた、真実にも等しい哲学ですよね。
もう少し岩崎さんのコピーをご紹介します。
一日歩かなければ行けない病院とは、
病人にとっては、ないのと同じです。
日本フォスター・プラン協会 2000年
子どもが苦しんでいる。
どこの国の大人が助けてもいいじゃないか。
日本フォスター・プラン協会 2003年
出生届けがない。
国にとって、
その子は人間ではない。
日本フォスター・プラン協会 1999年
岩崎俊一さんの他のコピーはもちろん、発想のきっかけや物事の捉え方をまとめたエッセイの数々。言葉が好きな方には、ぜひ一読していただきたい本です。