チョコクロを食べると思い出す
偽物の夜の色が
知ってる明日に変わるところを
チョコクロを食べると思い出す
進む時間と止まる時間のあいだで
私の未熟がふちどられてゆくこわさを
チョコクロを食べると思い出す
えらい人が私に優しくした一瞬を
グラスの泡が消える遅さを
チョコクロを食べると思い出す
私のほとんどがすみませんだったときのことを
私の私じゃない部分が評価されたときのことを
チョコクロを食べると思い出す
私の殻が運ばれてゆくところを
おかあさん、と呼んでみても
返事がなかったときのことを
チョコクロを食べると思い出す
私が私の正しさを歪めようとしたときのことを
歪めたあとの自分の顔を
チョコクロを食べると思い出す
15分間の小さな春を
細やかな金色の雨を
チョコクロを食べると思い出す
ルーズリーフの四角いところ、滲んだインクの跡、言葉の隅っこ
ストローの柔らかさ、はりぼての白皿、トランペットの切れ端
知らない明日へのあこがれ
チョコクロが好き過ぎる
私はサンマルクカフェが提供する「チョコクロ」という食べものが本当に好きで、なんというか、このチョコクロに対する好き具合というのは...