日記

おじいちゃんのトレー

 

昨日いつものカフェで、ちょっとした事件があった。

おじいちゃんが、お皿を返さなかったのである。

お皿、というか正確にはお金をのせる銀色のトレー。お釣り返してもらうときとかに使う、アレです。注文したものをその場で受け取って席まで持っていくスタイルで、お店の人はいつもコーヒーを白い受け皿にのせて出してくれる。だからうっかり間違っちゃったとかじゃなくて、おじいちゃんはわざわざその受け皿をコーヒーから外し、そこにあった銀色のトレーにのせて持ってったってこと。

 

おじいちゃんは目の前の席にどすん、と座り、私と対面状態になった。

そばにある新聞を読むでもなく、本を取り出すでもなく、こちらを真顔、というよりはちょい怒り寄りの顔で凝視。なぜ。しかし私にとってはその視線より何より銀色のトレーが気になって仕方なく、きっと間違って持ってきたんだろうな、と思いつつもなんてったってトレーが、トレーが面白くて仕方なく、少し身をよじらせ、脇腹のあたりにグッと力を入れて吹き出すのをこらえていた。このくらいのやつってあかんね。あかんあかん。もうどうしようもツボにハマってしまってほんまに苦しかった。

しばらくして、トレーの不在に気付いたお店の人がやってきた。「それ、お店のものなので、すみませんが返していただけませんか?」と、申し訳なさそうに言う。顔色ひとつ変えず。絶対笑うのこらえてる。すげえ。すると「なんで?なんで返さなあかんのや?」とおじいちゃん。「あっ、間違えたわ〜、アホやなあ〜」的な返答を期待してたであろう彼女(例のサンドイッチをゆっくり作ってくれる子です)は少々ひるみ、「なんでって…。なんでって、これがないと私たち困るんです!!」と、これには思わずおおっ、と小さく口にしてしまった。主語が私たち!彼女も面倒な客に立ち向かうステージまで来たのだ。しかしおじいちゃんも「いやや、これがええねんっ」と譲らない。そんなやりとりが何度か繰り返されたのち、コーヒーを飲み終わるまで銀色のトレーはおじいちゃんのもの。飲み終わったらおとなしくお店に返す。という取り決めが交わされ、一件落着。

彼女はため息さえつかなかったものの、去り際にこちらを振り向き、何かを訴える子犬のように目をまん丸にした。私は急いで困ったねえ、の表情を作り、そして彼女も同じ表情を作ってくれて、すごくすごく嬉しかった。

 

白いカップに白いお皿。同じロゴも入ってる。そのあまりに完璧すぎてつまらない組み合わせを、おじいちゃんの潜在的美意識が許さなかったのだろうし、それよか、ぴったりのお皿があってよかったね。確かにいいね。陶器の白いカップに、薄くてキラッとしたトレーの組み合わせ。なんだか小ざっぱりとして趣があるね。お店側じゃないから言えるんだけど、うっとりとそんなことを思って。

 

ところでカフェの店員さんは、大抵の場合エプロンを着用されてますね。私は、私はというか多くの人がそうだと思うけど、エプロンというものは無条件に安心感を与えてくれる衣装であって、とても好き。会社で働いてた頃、何かのイベントの準備で上司がエプロンを付けていて、あまりうまくいかなかった上司だったけどそのときばかりは少し甘えたいような気分になって、身に付けるものというのはこんなにも人に影響を与えるのかと少しゾッとした。

それでもやっぱり私はエプロンを付けている人が好きで、思わずじいっと見入ってしまう。エプロンを付けている人を見られる場所はカフェに限らず、レストランなどの飲食店、そしてこれが意外に穴場?だけど本屋さんも。どうして書店員さんがエプロンを付けてるかというと、意外に汚れる仕事だからだそう。本を梱包している段ボール等々は結構汚れているもので、さらに所狭しと本が積まれた店内はほこりも多い。これに加え、ボールペンやカッターなど、おおよそ身に付けておくべきアイテムをポッケに収納できるという、エプロンってかなり本屋さん向きなんだね。それになんか、色々満たしてくれるって感じ、飲食店と共通してるとこあるもんね。心をね、満たしてくれるよ本屋さんは。や、でも心は満ちてもお腹は空くよ。心満ち足りてお腹いっぱいなんてのはこれ、嘘なんで。たくさん読んでもお腹は減るもんです。読みながら飲食、は同時進行で満たしていく感じで、贅沢贅沢。あとね、本を買うとブックカバーをパタパタ付けてくれるあのひとときが私は好きです。

 

あ、コーヒーといえばこの漫画、友人におすすめしてもらった。とても良きです。

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ゆきみん
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